議員の政務活動費の支出に関する住民訴訟で、当該議員の政務活動費を用いた海外視察への支出が違法だ、という判決をとることができた。私的な観光旅行にすぎない、という判断だ。この裁判だけでなく、政務活動費の支出の違法を理由とする住民訴訟は、全国の裁判所で起こされている。住民訴訟の一つのパターンと言って良い。
しかし、だ。号泣議員の会見が2014年7月、富山市議の相次ぐ不正支出が明るみになったのが2016年。市民オンブズマンが支出の透明性を問題にしたのが2002年、ついでに私が政務調査費の住民訴訟をはじめて提起したのが2005年。なんと、個人的には17年も政務活動費の問題に関与してきたことになる。しかも、違法支出のパターンはこの間ほとんど変わっていない。不正支出が発覚する度、「もらえるものはできるだけもらっておかな損だ」という議員の意識が透けて見える。それに対して、たくさん税金を使っていながら、ぱっとした仕事をしていないじゃないか、という議員や議会に対する市民の不信に火がつく。その連鎖が住民訴訟を生んでいる。今や、政務活動費問題は市民の議会に対する不信のアイコンだ。
さて、統一地方選がはじまった。議員の選挙の課題として、政務活動費制度の検証を挙げるマスコミから取材をうける機会が多い。富山市議問題の前後あたりから、領収証のネット公開だけでなく、領収証を議会事務局がチェックして政務活動費の後払いをする制度を採り入れる議会も登場してきた。こうした取り組みに対する評価と改善点についての意見を求められるのだ。これに対して、違法支出対策としては評価できるものの、政務活動費問題の本質的な解決にはならないのではないか、と回答している。それはなぜか。こうした後ろ向きの対策では、市民の議会不信は解消されないからだ。じゃあ、どうするか。これについては次回で。
2019年03月21日
政務活動費をどうしたら良いか(1)
(2019.3.21)
posted by OFFICEシンカイ at 14:09| Comment(0)
| 情報公開