2017年06月02日

情報公開とビートルズ

 50年前の今日、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」が発売された(らしい)。先週、私も50周年記念盤の「サージェント〜」のを買ってしまったが、いったい、「サージェント〜」を買わされるのはこれで何回めだったかな・・。去年は去年で、来日50周年ということで、テレビも相当に盛り上がったし。
 ところで、その51年前。ビートルズの羽田到着から武道館でのコンサート、ホテルの様子、羽田からの離日までの様子を、警視庁が16ミリのフィルムで撮影し、現在もフィルムを保有している、という事実をご存知だろうか。
この映像の存在が知れるようになったのは最近のことで、その一部は昨年公開されたビートルズの記録映画「エイトデイズアウィーク」に用いられている。だが、一部ではなく、全部が見たい。そうした気持ちで、私たちは警視庁にフィルムの情報公開請求をした。これに対して警視庁は、フィルムに映った当時のファンの顔は個人情報だ、として、ファンの顔の写っている部分を非公開としてきた。しかしいったい、50年前のファンの顔は今も「個人情報」としてモザイクにする必要があるのだろうか。わが国も含めて、ビートルズに熱狂するファンの顔をモザイクにした映像など、これまで見たことがない。
 この非公開処分については、東京地方裁判所に取り消し訴訟を提起した。その経過については、また、ご報告したいが、ここでの問題は、本当に個人情報として保護する必要があるか、という点だ。とりわけ最近、公開することの都合が悪いと行政が判断した情報が、個人情報を理由として非公開とされているように思えてならない。本当に保護すべき個人情報であれば、非公開とされるべきである。しかし、この処分を含めて、情報の非公開の理由に「個人情報」を持ち出すことで、非公開に対する非難をかわし、世論を味方につけようとする行政の底意が見て取れることもしばしばだ。そもそも真剣に「個人情報保護」を考えているのであれば、1秒間に10万件もの顔の照合が可能と言われる、警察の監視カメラの画像データや捜査に用いた捜査といった、プライバシーを侵害する捜査についての法規制をきちんとすべきだ。ところが、捜査機関による個人情報の取得や管理については、法の規制は不十分のままだ。
 ということで、ビートルズ来日フィルムの情報公開訴訟は、「個人情報」と情報公開を問う重要な裁判なのです。

(2017.6.2  新海聡)
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posted by OFFICEシンカイ at 18:06| Comment(0) | ビートルズ訴訟
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